パスタを茹でるときに塩は必要ない!?

僕は見てなかったのですが、先日放送された某番組の中で、
・パスタを茹でるのに塩は関係ない
・塩の種類や濃度を変えていろいろやったけど味や食感などはまったく関係ない
・立派な論文が出ている
との発言があったそうです。
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毎日毎日パスタ作ってレシピに「塩はお湯の量の1%で」とか書いてる僕としては、思うところもあったのでブログに書かせていただくことにしました。
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まずはじめに、僕はプロの料理人でもなければ立派な論文も書いてなければ、実験もしたことありません。
浸透圧だのなんだの、科学的なことは一切わかりません。
イタリアが好きで、実際にイタリアで暮らして、パスタ毎日作ってるただのイタリア馬鹿です。(笑)
今から書かせていただくのは、そんな僕の経験からくるあくまで個人的な感想であることをあらかじめご了承くださいませ。
まず、僕がパスタを茹でるときに塩を入れるのはパスタ自体に塩味をつけるためです。
どんなに美味しいソースを作っても、パスタ自体にしっかりと下味がついていなければ料理全体で見たときになんかぼやけた味になってしまいますし、それを何とかしようと思ってソースにさらに塩をプラスしても味のしないパスタと塩辛いソースの組み合わせになってしまって美味しくありません。
そしてそれは、パスタを茹でた後に氷水で洗う冷製パスタも同じだと気づかされたことがありました。
実は先日、冷製パスタを作るときにボーッとしてたのかお湯に塩を入れないままパスタを茹でてしまったことがあったんです。
「ま、いいか。どうせ後で氷水で洗うんだし。」
と思って塩を入れずに茹でて氷水で洗って水をしっかり切ってソースと和えてみたのですが、食べてみるとなんかちょっと味がぼやけているというか、正直いつもより美味しくないな、と思ったんです。
「あ~、やっぱり塩って重要やねんなぁ・・・・」
とあらためて教えられた気分でした。
もうひとつ、塩の種類に関してですが、これも僕の経験談があります。
休みの日に家でパスタ作ろうと思ったら、いつものシチリア産の塩が切れていたので仕方なく近所のコンビニで塩を買ってきたんです。
(休みの日までパスタ作ってるんか!?とツッこまれそうですが、基本パスタしか作れないんですよ僕・苦笑)
で、このコンビニで買った塩でパスタを茹でてみたんですけど・・・・・なんか今イチな味になりました。
「塩辛い(しょっぱい)だけで甘みや旨味を感じない塩だとやっぱり違うんやな。塩って大事やな。」
とこちらも教えられました。
僕は市販のパスタソースを使いませんので、あの手のソースを使うときにはもしかしたらパスタを茹でるときの塩は少ない方がバランスがいいのかもしれません。
実際、僕もボンゴレとかソースによっては茹でるときの塩を調整することもありますし、食べてくれる人の好みによって、やや塩の量を減らしたりすることもあります。
最近の僕は魚介系のソースを作るときにはアンチョビの塩分だけだったり、お肉系のソースのときは肉に最初に下味をつけるときに振る塩とパルミジャーノの塩分だけだったり、ソースに塩を振ることがほとんどない気がします。
目指しているのは、間接的な塩味です。
これを書いていてふと思い出したんですが、学生の頃バイトしていた居酒屋さんの厨房に、ある日京都の料亭で板長されてた方が来られたことがあったんです。
今考えると他の料理人の方に失礼極まりなかったと思うのですが、その方の作る煮物や魚の煮漬けがもうほんと別格に美味しくて、それまでまかないのときには揚げ物とか焼き鳥とかをいただいていたのに、『なにがいい?』と聞かれると「あ、イイダコの煮漬けと小芋の煮漬けでお願いします」「鯛のあら炊きでお願いします」とそれまでと180℃違う内容になりました。
本当に美味しくて美味しくて、食べながら「なんでこんなに違うんやろう?」と疑問に思った僕はある日、その方に聞いてみたんです、「なんでこんなに美味しいんですか?」って。
するとその方は、『塩や。料理は塩加減が大事なんや。』と一言だけ教えてくれました。
当時はまだイタリアに出会う前で料理なんてしたことなかった僕ですが、この経験は今でも強烈な印象として僕の中に残っています。
本当の意味では今でもまだ理解できていないのでしょうが・・・・
閑話休題。
繰り返しになりますが、これはあくまで僕の経験からくる感想であって、僕の意見が正しいという訳ではないです。
味覚は人それぞれですし、好き嫌いも違いますし、体調によって変わってくる部分もありますし、ご家庭の味は千差万別あっていいと思います。
でももし、もし1つだけ正解があるとすれば、食べてくれる人のことを思って作る、食べてくれる人の健康を考えて作る、そして食べてくれた人が笑顔で喜んでくれる、ということだと僕は思います。
これからも、みなさまの食卓に広がる大切な方の笑顔のお手伝いが出来ますよう、僕も楽しみながら試行錯誤を繰り返しながらパスタ作っていきたいと思います。
とりあえず、僕はこれからもパスタ茹でるときにはシチリア産の塩を入れます。(笑)
絶対に。

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