イタリアのバレンタインの思い出

2月14日バレンタインデー。
日本では女性が男性にチョコレートを贈る日、として浸透していますがイタリアは愛する男女がお互いに贈り物を贈る日で、感覚としては日本のクリスマスに近い雰囲気でしょうか。
恋人同士がおしゃれして町に繰り出して外食を楽しむ、のが定番です。
えぇ、貧乏留学生にはあまり関係のない日でしたが、なにか?(笑)
そもそもの起源はイタリア中部テルニという町の聖ヴァレンティーノに由来するという節があって、このテルニという町は僕が住んでたペルージャから電車でローマに行く途中に名前を見かける、行ったことはないけれどなんとなく知っている町でした。
不思議に思ったのは、イタリアではそれぞれの町にそれぞれの守護聖人がいて、たとえばペルージャなら聖コスタンツォが守護聖人で、1月29日聖コスタンツォの日はペルージャのみ祝日なんです。
大学で授業を受けてたら、明日は祝日だよって突然言われまして、僕が持ってた日本の「イタリアの祝日一覧」みたいなのにはそんなの載ってませんでしたので、なんで休みなんだろう? ととても不思議でした。
そして迎えた翌日、聖コスタンツォの日になると町の中心でドルチェとワインがふるまわれるんです。
僕のような外国人でキリスト教徒でもない人がもらっていいのかな、という思いは少しありましたが、ありがたく美味しくいただきました。
当然テルニでは聖ヴァレンティーノが守護聖人ですから、テルニでは2月14日が祝日です。
「・・・バレンタインがお休みの人とそうでない人がいるなんて、なんか不思議。ってか、テルニに住んでてペルージャで働いてる人とか、ペルージャに住んでてテルニで働いてる人はどうなるんだろう?」
とか思ってみたりもしたのですが、詳しいことはいまなおわかりません。
情報不足ですいません。
さて、そんなイタリアのバレンタインですが、ペルージャで暮らし始めて1ヶ月ちょっとの間、ほぼ毎日一緒に住んでたイタリア人と2人でご飯作って食べてました。
で、2月14日当日。
スーツ姿の彼が僕のところにやってきて
『今日はこれから彼女とレストラン行くから一緒にご飯は作れないんだ』
と言ってきたので、
「オッケー、楽しんできてね。彼女によろしく伝えといて。」
と返すと、そこから意外な展開になっていきました。
突然、バレンタインに対して愚痴りだしたんです。
『マサ、僕はなぜこんなバレンタインみたいなイベントがあるのか理解できない。この日はみんな外に出てレストランで食事して・・・ そんなの僕は好きじゃない。』
とか言ってきたので、
「でも彼女が喜ぶんならそれでいいんじゃない?」
と答えて、彼が手に持っていた一輪のバラを指して
「それ彼女にあげるの?」
と聞いたら
『そうなんだ。ところで彼女は僕に何をくれたと思う?』
と僕に聞きながら、満面の笑みで腕にはめた真新しい腕時計を見せてきました。
「・・・その腕時計もらったの? その腕時計もらって、君からはバラの花一輪なの???」
と驚いたら
『ダ、ダメかな?』
と急に不安になりだしたので
「(そりゃダメだろ、と心の中で思いながらも)いいんじゃない。」
と苦笑いしながら答えておきました。
イタリアで過ごす初めてのバレンタインで、イタリアのバレンタインは男女がプレゼントを贈りあうということを知るとともに、イタリア男的に腕時計のお返しにバラ一輪はありなんだ、ということを知りました。
そして後日、彼女がウチに遊びにきたときに『このあいだ彼がバレンタインにバラの花をくれた』と嬉しそうに僕に話しかけるのを見て、なんていい子なんだ!!と思いました。
余談ですがこの彼と彼女、その後結婚して幸せに暮らしています。
彼も彼女も、ほんといいヤツです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です